【筋トレ初心者】スクワットの正しいフォームについて解説

以前、スクワットの種類など基本についての記事を書きました(⇒参照記事)。
今回は基本を踏まえたうえで、高重量を挙げてもケガをしにくい正しいフォームについて解説したいと思います。
※正しいフォームであっても疲労の蓄積や、高頻度でマックス挑戦をやっているとケガをするリスクはありますので、その点はご留意ください。

【筋トレ初心者】スクワットの正しいフォーム

まずはラックの高さの調整です。
ラックの高さは、バーが鎖骨の下の辺りに来るように調整します。

バーがだいたい鎖骨の下の辺りになるようにラックの高さを調節。ハイバーならもう少し高くても大丈夫。

これよりも低いとラックから外すのに体力を消耗してしまいます。
これよりも高いとラックから外すのは楽に感じるかもしれませんが、スクワットした後に戻すのが大変です。
初心者のうちはスクワット動作をしているうちに、少しバーが腰側へズレてしまうことがあるので、「少し低いかな」と感じるくらいで大丈夫です。
よく背伸びをしながらラックに戻している方がいますが、力を出し切った後だと戻せなくなることがあるので、大変危険です。
ラックによっては、一段高さを変えるだけでもかなりラックの高さが変わってしまい、高さがしっくり来ない時もあるかと思いますが、高めに設定するよりかは低めに設定することを心掛けると良いでしょう。

背伸びしなければ戻せない高さは危険。スクワットで潰れなくても、力を使い果たして戻せないなら結局バーを落とさなければならない。

手幅は肩幅よりも少し広いくらいが基本です。
手幅は狭いほうが僧帽筋が収縮し盛り上がりが出来るので、バーを乗せやすくなり安定します。
手幅は広すぎないほうがしっかりとバーを押せるので、試行錯誤してバーを力強く押せる手幅を見つけましょう。
ただし、柔軟性がネックとなる場合があります。
特にローバーは、肩周りの柔軟性に乏しいと狭い手幅で行うのが難しくなるので、その場合は肩を痛めないように広めの手幅で行いましょう。

手幅が狭いと背中の筋肉が収縮し盛り上がりが出来るのが分かる。その盛り上がりの部分に乗せたほうが安定しやすく痛くなりにくい。

手幅を決めたら担ぎます。
担ぐ時はバーをしっかりと体に食い込ませることで、バーと体に一体感が生まれ安定します。
バーの重さは必ずハイバーなら僧帽筋上部、ローバーなら僧帽筋中部などの背中の筋肉で受けるようにします。
腕でバーの重さを受けようとすると、重くなった時に腕や手首を痛めます。
腕はあくまで補助的に、軽く支える程度にします。
また、ハイバーの場合は頸椎(首の骨)に乗せないように注意しましょう。
首は痛めると治りづらく、痺れなどの厄介な症状が出たりするので危険です。
バーとの接地面が痛くなるのを防ぐためにスクワットパッドを使用している方は多いかと思いますが、スクワットパッドを使用すると重心が高くなり不安定になるので、基本的には使用しないほうが良いです。

スクワットパッドの使用でバーの位置が数cm高くなる。すると体を前傾させた時に重心が前側へブレやすくなる。

特にローバーだと、パッドの厚さ分だけ余計に肩の柔軟性が必要になりますし、毎回決められた位置に担ぐのが難しくなります(ローバーは肩甲棘を目安に担ぐ位置を決めるため、パッドがあると肩甲棘にバーが触れなくなる)。
最初は痛いかもしれませんが、慣れれば痛みは感じなくなりますので、なるべくスクワットパッドは使用しないようにしましょう。

ローバーは肩甲棘(肩甲骨上部の右端)を目安にバーを乗せる。パッドがあると肩甲棘にバーが触れづらくなって分かりにくくなる。

ラックから外す場合は、体をバーの真下に入れて腹圧をかけ(腹式呼吸でお腹を膨らませる)、脚の力で外します。
バーの真下より手前で外すと、グッドモーニング・エクササイズのようになってしまい、脚の力が使いづらく腰を痛める原因にもなります。

バーの真下より手前で外そうとすると、腰を伸ばして外すかたちになるので腰を痛めやすく、軌道も斜めになるので重く感じる。

グッドモーニング・エクササイズ。本来はスクワットよりもずっと軽い重量で脊柱起立筋やハムストリングスを鍛えるための種目。スクワットの重量で行うと腰への負荷が強すぎる。

しゃがむ時は膝を外側に開いてしゃがみます。
肩幅くらいの広さでしたら、つま先をだいたい30度~40度くらい外側に開きます。


そしてつま先と同じ方向になるように膝を外に開きながらしゃがみ、立ち上がります。

膝とつま先を正面に向けるのは悪いことではないが、より安全に高重量を扱いたいなら外に向けたほうが良い。

膝を割ってしゃがむことで、股関節の構造上、詰まりが出にくくなり、さらに内転筋の動員も増えるので高重量が扱いやすくなります。
股関節の詰まりが原因で深くしゃがめない方は、膝を割るだけで解決する場合もあります。
ただし、つま先と膝の向きが揃わないと膝を痛める原因となりますので気を付けましょう。
立ち上がる時に膝が内側へ入る(ニー・インと言います)人は多いです。
「過剰にニー・インしなければ大丈夫」という意見もありますが、初心者のうちはニー・インしないように意識して取り組んでいったほうが良いのは間違いありません。

初心者のうちからニー・インする癖がついてしまうと、高重量を扱うようになった時にさらに膝が内側へ入ってしまうようになりかねない。

ハイバーならなるべく上体を立てて膝を前に出し、ローバーで行うならお尻を引いて上体を前傾させて膝をあまり出さないようにしてしゃがみます。
ハイバーでお尻を引いて体を前傾させてしまうと、重心が足の真ん中からズレてしまうので、余計なエネルギーのロスが生じてしまいますし、上体が潰れやすくなってしまいます。

ハイバーでお尻を引いて前傾しすぎると、重心が足の真ん中よりかなり頭側へズレて上体は潰れ、腰への負担が強くなる。スクワットパッドを使用するとさらに重心が頭側へ移ることになる。

ローバーで上体を立てて膝を前に出して行うと股関節の力を使いづらくなってしまいますが、ハイバーよりかはバーが体の重心に近いので立ち上がりやすくはあります。
とは言え初心者ならセオリーどおり「ハイバーはなるべく上体を立てて膝を前に出す」「ローバーはお尻を引いて上体を前傾させて膝をあまり出さないようにする」というのを守ったほうが、ケガをしにくいフォームを修得しやすいでしょう。

左がローバー、右がハイバー。ハイバーとローバーでは担ぐ位置が違うだけではなくフォームが違い、主に使われる筋肉も違うことを覚えておこう。

スクワットの基本の基本の記事でも述べましたが、「膝を前に出す=ケガをしやすい」というわけではありません。
お尻を引いて膝を出さないようにすれば腰に負担が来やすいですし、お尻を引かずに膝を前に出せば膝に負担が来やすい…という話です。
「ローバーで行うなら、膝を前に出しすぎないほうが股関節周りの筋肉を使えるので高重量を扱いやすい」とは言えると思いますが、「膝を前に出してはいけない…」という先入観に囚われて、間違ったフォームにならないように注意しましょう。

膝を出さないように…というのを意識しすぎると、グッドモーニング・エクササイズのようなフォームになりがち。

ハイバーでもローバーでも、大事なのは背中と骨盤を真っ直ぐにしてしゃがむということです。
背中が丸まってしまうと腰を痛めやすい、というのは分かりやすいかと思いますが、丸まらないように意識しすぎて反ってしまっている方はとても多く見受けられます。
特に女性に多い印象ですが、骨盤が前傾してしまい、腰が反ってしまうケースはよくあります。
胸を張り過ぎても背中が反りやすくなってしまいますので、注意しましょう。

一見、綺麗なフォームに見えるが、腰が反っている女性はとても多い。

また、柔軟性などの問題により、ボトム付近で骨盤が後傾(バット・ウィンクと言います)してしまう方もいます。
骨盤が前傾や後傾することもなく、背中を真っ直ぐにしてしゃがんで立ち上れるようにしましょう。
バット・ウィンクも腰部への負担が大きく、腰痛の原因となりますので気を付けましょう。

右が正しいフォームで左がバット・ウィンク。骨盤が後傾して腰も丸まっているのが分かる。やっている最中は特に違和感や痛みなどを感じないケースが多いので、動画などで確認が必要。

スクワットをやるうえで、絶対に押さえておいてほしいのが「足の真ん中に重心が来るようにすること」です。
よくミッドフットなどと言われますが、つま先と踵の間、つまり土踏まずの辺りに重心が来るようにします。
土踏まずの辺りに重心が来るようにするには、土踏まずの辺りの真上でバーベルが床に対して垂直に動くように動作を行います。

動作のどの局面でも、土踏まずの真上にバーベルが来ることを意識する。

そのために足裏の意識が大切で、母指球、小指球、かかとの3点にバランス良く重心が乗るようにします。
つま先重心だとしゃがんだ時に膝が前に出過ぎたり、ふくらはぎに刺激が入ったりして、高重量が扱いにくくなります。
逆にかかと重心だとお尻を引きやすくなり、ハムストリングスなどに効かせやすくなりますが、やはりバランスは良くないので高重量を扱っていくうえでは不利になることがあります。
重量に拘らず、腿の前側も後ろ側もスクワットで鍛えていきたい場合は、かかと重心でも良いかと思います。

しゃがむ時も挙げる時も、常に足裏の3点を意識する。3点への重心のバランスが崩れると、バーがブレてしまう。

つま先にもかかとにも重心が乗っていはいても、母指球とかかとの2点にだけ重心が乗っている方はとても多いです。
母指球とかかとの2点で重りを支えると、膝が内側へ入りやすくなり(ニー・イン)、高重量が扱いにくいだけでなく膝を痛める原因にもなるので気を付けましょう。

母指球へ重心が偏ると、しゃがむ時は良くても立ち上がる時に膝が内側へ入りやすくなる。足裏への意識が乏しい場合も、このフォームになりがち。

土踏まずの辺りの真上でバーベルが床に対して垂直に動く感覚が分からない場合は、ゆっくりとしたスピードでスクワット(数秒かけて下ろし数秒かけて挙げる、テンポスクワットと言います)を行うと良いかと思います。
ゆっくりとしゃがむ動作を行うと色々なことを意識しながら動作が行えるので、ただしゃがむだけでなく足裏の3点に均等に重心が乗るように意識しながら、バーベルの重さを感じながらしゃがみます。
可能であれば真横から動画を撮影して、バーが土踏まず上で垂直に動いているか確認すると良いでしょう。

ボトムで静止するポーズ・スクワットもオススメ。バーの軌道がブレているとボトムでうまく止まることが出来ない。

立ち上がる時の注意点は、膝と股関節が同時に伸びるようにすることです。
つまり、膝が伸びるのと上体が起き上がるのが同時になるようにします。
膝が先に伸びてしまい、あとから上体を起こすような形となり、グッドモーニング・エクササイズのようなスクワットをする方は多く見かけます(まさにグッドモーニング・スクワットと言います)。
原因はいくつか考えられますが、脚全体の筋肉をバランスよく使えずにお尻や腿裏の筋肉に頼って挙げてしまったりすると、グッドモーニング・スクワットになりやすくなります。

グッドモーニング・スクワット。膝が先に伸びることでバーベルと股関節の距離が遠くなり、腰部への負担が強くなる。

グッドモーニング・スクワットは、人によっては高重量が扱いやすくなったりしますが、体幹部への負担が強く腰を痛める原因になります。
力を出し切っている最中に鏡で確認するのは難しい場合もありますので、自身の動作を動画で確認すると良いでしょう。

ボトムまでしゃがんだら(左図)、真ん中の図のようにお尻と胸を同時に上げるようにする。股関節を上げる意識が強いとグッドモーニング・スクワットになる(右図)。

今回はスクワットのフォームについて解説しました。
「しゃがんで立つ」というだけの単純な動作に思えますが、意外と気にするべきポイントは沢山あり、正しいフォームの修得は簡単ではありません。
しかし、筋肥大においてもスポーツの補強としても非常に有用なトレーニング種目なので、是非とも沢山の人に挑戦してほしいと思います。

今日も筋トレライフを楽しみましょう。

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